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謎のブログ

謎の生物(゚Д゚)@謎が書く謎のブログ。気の向くまま風の向くまま。

「あの日、僕らの命はトイレットペーパーよりも軽かったーカウラ捕虜収容所からの大脱走」

映画・テレビ

 第2次世界大戦中、オーストラリア・カウラにあった捕虜収容所で実際にあった話を元にしたドラマ。

 8月になると、昔は嫌と言うほど戦争関連の特番やドラマが放送されましたが、印象として最近は余り見かけない気もします(あくまでも私の主観的な感じ)。

 でも、第2次世界大戦を経験した人がどんどんお亡くなりになって、語り部が居なくなってくるこれから先だからこそ、こういうドラマは必ず制作して流すことに意義があると私は思います。今回のはDVDも出るそうですから、学校などで見せるということも必要かな、と。

 若い人は特に好きこのんでこういう物は見ませんからね。教育の一環として見せるぐらいをしないと。

「死ぬために脱走する」

 その、今の日本人や諸外国の人間には理解しがたい発想がいかにして生まれたか・・・。その背景を分かりやすく描かれてありました。

 

「生きて虜囚の辱めを受けず、死して罪禍の汚名を残すこと勿れ」

その、戦陣訓に縛られた日本人兵士達。

 待遇のいい捕虜収容所での生活を謳歌しているように見える捕虜達も、実はこの戦陣訓に縛られていて、いつかは死ぬ覚悟をしていた。

 いつか死ぬからこそ、明るく野球をしたり秘密で造った濁酒のんで楽しんだりしないとやっていられない。

 縛られていたのは戦陣訓だけではない。捕虜になったと分かったら、国に残った家族達が村八分になる現実にも縛られていた。だから、生きていると手紙を出すことさえ許されない。出来る限りみんな偽名を相手国の兵士に名乗っていた。

 そんな中で、心の底から生きたいと願った嘉納二郎(大泉洋)。

 その嘉納の下で従軍し、助けられ、しかしやはり戦陣訓に縛られている主人公・朝倉憲一(現在:山崎努 過去:小泉孝太郎)。

 ある日、捕虜収容所の収容人数がいっぱいになったために、分割して収容することになった。その分割方法は、下士官とその他一般兵という分け方で、縦社会の、上官を頭に、結束し家族のような繋がりを持つ日本人にとっては受け入れがたい提案だった。

 それがきっかけで、「どうせいつか死ぬのなら、今しかない」と言う気運が流れ出し、

「脱走して、敵の弾に当たれば名誉の戦死とされる」

と言う、「死ぬために脱走する」という方法がうまれた。

 タイトルの意味がここで分かる。脱走をして名誉の戦死を選ぶか、このまま生きながらえるか、その選択を捕虜全員の投票でおこない、その時の紙がトイレットペーパーだったからだ。

 二郎が言う、

「俺たちの命は、この便所紙よりも軽いのですか」

と。

 仲間が言う、

「ここで2年間、食べて飲んで、楽しかった。もう十分だ」

「うちは小さな村だから、捕虜になったと分かったら家族は村八分だ」

「俺の兄貴は海軍でも結構上のほうなんだ。兄貴に迷惑はかけられない」

(台詞はうろ覚えです。)

 そして、印象に残った二郎の言葉は、

「誰も悪いことはしていない。進んで捕虜になったワケではない。怪我やマラリアや栄養失調で動けなくなって捕まっただけじゃないか。悪いことをしていないのだから生きようよ」

 長い台詞なのでちゃんと覚えていませんが。

 結局、脱走する意見が多く、生きる方を選んだ者も一緒に脱走しなくてはならなかった。

 

 怪我や病気で脱走できない者が次々に自決していく。

 捕虜達は次々と撃たれていく。

 二郎は、兵隊ではなく漁師でたまたま敵の艦船に捕まった男と共に隠れたが、他の者に見つかり、銃弾が飛び交う中へと引きずり出されてしまう。

 両手を挙げて、命乞いをする漁師も撃たれて死に、二郎も銃弾に当たって死んでしまった。

 皮肉にも、心底生きたいと願った二郎は死に、名誉の戦死を選んだ憲一が生き残った。

 

 最後に泣かせるのが、二郎の送ることの出来なかった妻への手紙を渡しに出向いた憲一に、母や妻が

「名誉の戦死だったのか、捕虜になったりしてないか」

と言ったようなことを口にしたので、憲一は本当のことを言えず「名誉の戦死だった」としか言えなかった。手紙も渡せなかった。

 その時の憲一の心情を思うと泣けてなけて。

 結局、手紙を渡せたのは、64年経った現代になってからだった。

 

 とまあ、こういう話ですが、シベリア抑留とかは知っててもカウラ捕虜収容所の大脱走事件は知らなかったので、今回のドラマで初めて知りました。

 もう、番組のはじめから終わりまで泣けて泣けて。

 そして、教育の怖さというか洗脳というか、戦争の怖さの一面を見た気がします。そのままいれば生きていけるのに、自ら死んで行ってしまうのですから。

 

 それにしても、大泉洋はいい演技してました。クレジットは小泉孝太郎が先だけど、本当の主役は大泉洋の嘉納二郎だと思いましたもの。

 私のつたない文章ではカウラ事件について説明しきれないので、ご興味のある方は公式サイトへどうぞ。

「あの日、僕らの命はトイレットペーパーよりも軽かったーカウラ捕虜収容所からの大脱走」